東京都の市街化区域内農地は、平成3年時8,990haあったが、平成13年時では5,725haと10年間で36%減少しており、「農地として保全すべき」対象の生産緑地を含め、戸建住宅・集合住宅を中心とした計画性のない開発が進んでいる状況にある。
まちづくり3法の改正が行われ、市街地のコンパクト化、まちなか居住の推進へと施策の大きな方向転換がみられる中、今後しばらくは人口増が続くとみられる都心近郊において、これら低未利用地の市街化圧力に対する的確な対応が都市計画上の大きな課題になると考えられる。
このような状況の中、都心近郊の世田谷区においても、宅地化農地等の低未利用地を転用した開発行為が数多く行われ、平成7~17年の10年間で農地面積が26.1%減少している。加えて、農地所有者の高齢化に伴い、相続等の農地継承にかかる問題も顕在化しており、農地等低未利用地の開発、宅地化の進行は速まると考えられる。
しかし、これまでの傾向から事業手法として土地区画整理事業が選択されることは少なく、計画性のない開発行為による市街化の進行により、行き止まり道路やネットワーク性が欠落した道路が形成され、元来狭隘で入り組んだ道路網が多く、防災上危険性の高い既成市街地の更なる悪化が懸念される。
以上の背景を踏まえ、本稿では、世田谷区の低未利用地3箇所をモデル地区として、3段階の公共施設整備レベル(①区画整理標準水準②区画整理緩和水準③開発行為)で整備計画(設計、概算事業費等算出)を作成し、地権者負担や公共施設整備の充足度の視点から比較・評価を行う。
その結果を踏まえ、都心近郊の低未利用地における良好な市街地形成に向けた、小規模土地区画整理事業の促進方策を考察することを目的とする。
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